ちなみに、上蓋に可愛らしい“耳”のような取っ手がついた蒸しかまどは、小田製陶所独自のデザインによるもので、「小田式蒸しかまど」などと呼んでいます。
何と言っても蒸しかまどの最大の魅力は、現代の高級炊飯器に勝るとも劣らない、最高に美味しくツヤ立った絶品の銀シャリを炊ける点です。豊かな社会に生きる今の私たちからすると、「昔の炊き方の方が美味しかったなんて…!」と、先人の知恵や技術の高さに驚くばかりです。
ちなみに、人気の料理マンガ「将太の寿司」(©寺沢大介・講談社)でも、究極の炊飯方法として紹介されています。
また、高級寿司屋さんやウナギ屋さんの中には、今でも蒸しかまどで炊いた銀シャリにこだわるお店が残っているほどです。
そんな活躍していた蒸しかまどですが、時代の波には逆らえず、昭和20〜30年代にガス・電気釜が普及すると急速に姿を消していきました。そのせいか、若い人だけに限らず、ご高齢の方でも蒸しかまどのことをご存じない方は、意外に多くいらっしゃいます。
ところで、戦後の日本から姿を消した蒸しかまどは、おそらく米軍の関係者などを経由してアメリカ本土に渡り、「 インペリアル・カマド」(皇帝〔帝国?〕のかまど)として、実は現在でも活躍中です。
なお、日本のように炊飯器としてではなく、主に広い庭先などで開くバーベキューや燻製用の調器器具として重宝されているようです(※写真は、たびささんのブログ「奇妙な惑星 ~Peculiar Planet~」より)。
ひるがえって日本では、蒸しかまどの製造は全国からほぼ姿を消してしまい、小田製陶所もとっくに製造を中止していました。しかし、2010年代に入って、阿賀野川流域の地域再生を手がける「一般社団法人あがのかわ環境学舎」との出会いもきっかけの一つとなり、小田製陶所は蒸しかまどの復刻に乗り出します。
まず、昔製造していた小田式蒸しかまどと同型の1升炊き用の蒸しかまどを復刻し、ついで、さらに大型の3升炊き用の蒸しかまどを開発しました。これらはおかげさまで販売好調につき、3升炊きと1升炊きは販売終了となっております。
その後、小田製陶所はこの絶品ご飯の美味しさをご家庭の食卓にもお届けしたいと考えるようになり、試行錯誤を繰り返した結果、本サイトでご紹介する一連のミニ蒸しかまど製品の開発・販売に至りました。